歴史ネタ

新宮紀行エピローグ・「毒取ル」大石誠之助

 

というわけで今週は長々と新宮紀行を書いて来たのですが、最後にちょっと違った角度から新宮のことを書いて終わろうと思います。

  

新宮と言えば、ちょうど今、毎日新聞でこの新宮を舞台にした『許されざる者』という小説が連載されています。

この小説は、大逆事件で刑死した新宮の開業医・大石誠之助を主人公のモデルにしたものなのですが、「大石誠之助」といっても主犯として(まぁホントはほぼ無関係なのですが)処刑された幸徳秋水と比べて一般の知名度は低いかと思います。

ちなみに彼は、はっきりいって陰謀段階も含め、全くこの事件に関与してないのに、社会主義者の大物というだけでどさくさ紛れに殺されてしまった人なのですが(・ω・`)

地元では貧しい者からはお金を取らない医者として「毒取ル」のあだ名で親しまれていた一方、社会主義運動だけでなく、非戦運動や廃娼運動にも関わった人権活動の先駆者でもありました。その分、彼の刑死は、新宮の人々にとっては大きな衝撃であったようです(・ω・`)

「大逆」の汚名のもと、表だって弁護できる人はいませんでしたが、「何であんないい人が殺されなければならんのか」と彼のことを知るお年寄りはずいぶん後になってからもそう嘆いたそうです。

 

なお、彼の刑死を嘆いた親友・与謝野鉄幹の「誠之助の死」という詩には、彼の刑死に対する悲痛な思いと、次第に狂い始めた時代への痛烈な批判が込められています。

 

 誠之助の死 与謝野寛

大石誠之助は死にました、
いい気味な、
機械に挟まれて死にました。
人の名前に誠之助は沢山ある、
然し、然し、
わたしの友達の誠之助は唯一人。
わたしはもうその誠之助に逢はれない、
なんの、構ふもんか、
機械に挟まれて死ぬやうな、
馬鹿な、大馬鹿な、わたしの一人の友達の誠之助。
それでも誠之助は死にました、
おお、死にました。

日本人で無かつた誠之助、
立派な気ちがひの誠之助、
有ることか、無いことか、
神様を最初に無視した誠之助、
大逆無道の誠之助。

ほんにまあ、皆さん、いい気味な、
その誠之助は死にました。


誠之助と誠之助の一味が死んだので、
忠良な日本人は之から気楽に寝られます。
おめでたう。

 

また新宮出身の佐藤春夫(当時19歳)も、「愚者の死」という詩で同じく大石誠之助の死を悼んでいます。

 

 愚者の死 佐藤春夫 

1,911年1月23日、大石誠之助は殺されたり、
げに厳粛なる多数の規約を裏切るものは殺されるべきかな。
死を賭して遊戯を思い、
民族の歴史を知らず日本人ならざる者、
愚なる者は殺されたり
「嘘より出でし真実なり」と絞首台の一語その愚を極めむ。
われの郷里は紀州新宮、
渠の郷里もわれの町。
聞く渠が郷里にしてわが郷里なる紀州新宮の町は恐懼せりと、
うべさかしたる商人の町は嘆かん。
町民は慎めよ。
教師らは国の歴史を更に説けよ。

 

そして「大逆事件」から100年近い年月が流れ…… 

 

私が初めて訪れた今の新宮は「市」というか小さな町でした。人口はわずか3万人ちょっと。しかもそれも減る一方です。町も活気があるとは言い難く(まぁ天気のせいもあるのでしょうが(^^;))、駅前とかハッキリ言ってかなりうらさびれていました。

主たる産業といえば林業か漁業。大阪や名古屋という大都市に出るにも不便で、大学進学する若者も少なく、そもそも大卒の人は公務員か医者か先生ぐらいという典型的な地方の過疎の町です。

そんな中で、今回研修のホスト校を務めてくれた附属新宮の先生方は、少しでも生徒達の力を伸ばし、大学進学を通じて彼らの可能性を切り開いて行けるよう懸命に努力をしているのがよく分かりました。私学に通わせることのできる家庭も少ないだろう中、生徒募集は大変かと思いますが、どうか負けずに頑張って下さい!(>_<)(あ、でもお体だけは大切に……)

同じ附属グループの一員として、心からエールを送り、新宮紀行編の締めくくりとしたいと思います(^-^)

 

PS ちなみに、今、新宮では大石誠之助を名誉市民にしようという動きが広がっているそうですshine

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恐怖のフランス革命

 

「革命はいつもインテリが始めるが、夢みたいな目標を持ってやるからいつも過激な事しかやらない」(byアムロ・レイ 『逆襲のシャア』より)

 

『赤と黒』 を読んで興味がわいたのでひさびさにフランス革命のお勉強

 

いやぁしかしフランス革命というと何となく「自由・平等・博愛」のテーマのもと、封建制度による圧制に苦しめられていた人々が起こした崇高なる正義の革命、というイメージがありますが、

 

大人になって勉強しなおしてみると、その実態はすさまじく陰惨だよなぁ。特にいわゆるジャコバン派独裁による恐怖政治の粛清につぐ粛清はまさに血も凍るというか(さすが「テロ」の語源)、ロシアのスターリン独裁や中国の文化大革命、ポルポト派の虐殺、小さくは連合赤軍とかとやってることは何も変わらないよぉ|゜Д゜))ガクガク

 

大体主要人物のほとんどがギロチン送り(まぁ送り込んでた側も「テルミドールの反動」で全員同じ目にあうのですが)ってのがすさまじい。しかもみんな2~30台くらいだしね。かっての親友・恩人であっても女性であってもおかまいなし。「理性」を信奉するだけあって、「情」は一切入らないのですが、つくづく「情」が入らない「理性」は「狂気」と紙一重だよなぁ……|゜Д゜))ガクガク

  

「自由よ、汝の名の下でいかに多くの罪が犯されたことか」
 
(ジロンド派の女王とよばれたロラン夫人の名言。もちろん彼女もギロチンで処刑)

 

その他にもこの本読むまでは知らなかったですけど、ヴァンデ戦争をはじめ内乱状態にもなってるんですよね。

 

聖戦ヴァンデ〈上〉 (角川文庫) 聖戦ヴァンデ〈上〉 (角川文庫)

著者:藤本 ひとみ
販売元:角川書店
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考えてみればフランス全土が革命で一枚岩となったわけではなく、革命政府についていけない地方(そりゃまぁいきなり王様が倒されたとか、カトリックを信仰するなとか、徴兵制に従えとか言われてもなぁ……)とかが結構反乱を起こしているわけで(ある意味戊辰戦争みたいなものか)。

そしてしかもそれを革命政府は「革命の敵」として徹底的な弾圧で応じるわけですよ。ヴァンデの虐殺なんて「民族浄化」と言われても仕方ないぐらいで、「地獄部隊」(すごいネーミング……)による一般民衆も含めた徹底的な無差別掃討戦とかをやってるんですから凄まじい|゜Д゜))ガクガク

 

しかし可哀想なのはルイ16世で、なんとなく「暗愚」、マリーアントワネットの尻に敷かれるダメ亭主というイメージ(笑)があるのですが、けっこうがんばってるんですよね。人間的にもいい人っぽいし。少なくとも彼は父ちゃんやじいちゃんが破綻させたフランス財政を立て直すべく、政治改革に努力していたわけで、でも貴族層に反対されてうまくいかないから平民層の力を借りようと「三部会」とか開くのですが、それが革命の引き金になってしかも自分は処刑されてしまうというカワイソスぶり(・ω・`)

 

ちなみにそんな大量殺戮を繰り広げたジャコバン派のメンバーですが、じゃあ悪人だったかというとそんなわけではなく、純粋すぎるほどの理想に燃える若者たちなわけで。

 

Photo リーダーであるロベスピエール(通称:「ルソーの血塗られた手」)は、私生活では高潔な紳士で知られ(ぶっちゃけ独身どころか童貞だったらしい)ていたそうですし、

 

 

 

Photo_2その美貌と冷徹な革命活動から「革命の大天使」とよばれたロベスピエールの片腕サン=ジェストは若干26歳でした。

  

 

   

そして三巨頭とよばれるもう一人の主要人物であり「ロベスピエールの第二の魂」と称されたジョルジュ・クートンなんかはこの顔ですよ!!

 

Photo

絶対いい人だぁぁ!!(゜ロ゜)

いや実際正直で慈悲深い人柄だったようですが。

……てか「メソ」?(笑) 

 

 

でもって全員テルミドールの反動でギロチン送り(-_-)

 

連合赤軍について調べたときも思ったのですが、理想に燃えていたはずの若者たちが、最終的になぜこんな狂気の暴走としかいいようがないことをしでかすのか……、これが「革命の魔力」ということなのでしょうか……というわけで冒頭のアムロの言葉に戻るわけです(^_^;) いわゆる富野節ってヤツですが、深いよなぁ……

 

フランス革命は世界史を揺るがした大事件であることは間違いないですが、ユートピアを求めた革命が逆に社会を崩壊させ独裁体制を産むという事実を示してみせたという点もあわせて歴史の教訓とすべきものだと思います。歴史上の大きな出来事には光の部分だけでなく、必ず闇の部分があるのですから…… 

 

 

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