短編小説④:「エルミィ&ユーリー 魔人の森」(中編)
オリジナル短編小説『魔人の森』。中編デス(><)
あ、そう言えばうちからもリンク貼ってる
「Fの軌跡」のひこうきさんに刺激を受けて
http://ncode.syosetu.com/n5586z/
「小説家になろう」というサイトに
これまでの作品をUPすることにしました♪(Φ∀Φ)
今更小説家を目指すなんて恐れ多いですし、
「Fの軌跡」みたいに100万pvとか
ぶっちゃけありえないデスが(笑)
まぁせっかく書いたんだから
少しでも日の目が見せてやれたら良いな……と。
なお、サイトのURLはこちら!
http://mypage.syosetu.com/240919/
人目に触れられるよう、もしよければ応援してください(笑)
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2
サワサワサワ……オレ達を囲む生きている木々達の目が、舌なめずりをするかのようにこちらをなめ回してきた。
赤い瞳が不気味に揺れ、風に乗ったざわめきがサラウンドで響いてくる。
--死ネェ~~、死ネェ~~
--コノ森ノ奥ニ足ヲ踏ミ入レタ者ハ、ミナワレラノ養分トナルノダ
--食ッテヤルゾ、ボリボリト食ッテヤル
ざわめきが大きくなった。もはや聞いているのが辛い程である。
「な、何よぉ! 一体、何がどうなってるの~!?」
半べそをかきかき、エルミィがぎゅっとしがみつく手に力を込める。
「《植物魔人(トレント)》だ……邪悪な魔力によって生を与えられた生きている木々……! どうやらオレ達は道に迷ったどころか、いつの間にか……」
オレは震えるエルミィをかばいながら、ワサワサと触手のように伸びてくる枝に向けて剣を構えた。
「魔界への入り口(ゲート)をくぐっちまったらしい……!」
しゅるるる! その瞬間、前方から魔人の枝々が、獲物を求め一斉に襲いかかった!
「きゃああああっ!」
「ちっ!」
エルミィを後方に突き飛ばすと同時にオレの白狼剣がうなる!
オレは襲いかかる枝の群れを縦横無尽に切り裂いたが、しかし枝は一向にひるむ様子も無く次々に迫ってきた!
全くラチがあかない。それどころか、こいつらは痛みというものを少しは感じているのか……!?
絶望的な思いに捕らわれかけたオレの左手に、一本の枝がまるでつる草のように巻き付いた!
「ユーリー! 後ろっ!」
エルミィが悲鳴を上げる。慌てて振り返る俺の目の前に、狂気に燃えるトレントの赤い瞳があった!
「--しまったっ!」
トレントの繰り出す触手枝が次々とオレにからみつく。
「きゃああユーリー!? ま、待ってて、今助けるから!!」
エルミィが慌てて駆け寄ると、魔道師の杖でぽかぽかと枝を殴る。……ってそんなの効くわけないだろ!? と内心突っ込んだオレの視界の先に見えたのは、エルミィの後ろから更に迫る新たな枝!
「バ、バカ野郎! 人の心配するヒマがあったら自分の身を--!」
「きゃ、きゃあああ!?」
オレの叫びも空しく、トレントの枝があっさりとエルミィの胸に巻き付いた。そしてたちまちエルミィもまたがんじがらめに縛られてしまう。
「く……苦し……」
ギリギリと締め付けられて、エルミィの呼吸がみるみる荒くなった。
くっ……! オレは力の限りもがいたがビクともしない。これではエルミィを助けるどころか、オレもこの状況から抜け出せない。
ぐい! 不意にトレント達がオレ達の身体を引き寄せ始めた。
引きずられてゆく方向に目をやってオレは慄然とした。そこには手に捕らえられた獲物--オレとエルミィを食べるべく、ぽっかりと空洞のように開いたトレントの口があったのだ!
じょ、冗談じゃない! オレはまだ辛うじて動かせる右手の剣で枝を断ちきろうとしたが、ろくに力の入らない今の状態ではそれすらままならない。
そうしている間にも、まずもがくエルミィの小さな身体がトレントの裂けた口の中に運び込まれようとしていた。こうなったら仕方無い--奥の手を使うしか!
「--白狼剣!」
触手枝に揺られるオレの身体がちょうどその角度になったその瞬間、オレは魔剣の効果を発動させた!
カッ! 剣先から放たれた一条の銀の光芒が、エルミィを飲み込もうとしたトレントの目の目の間に突き刺さる! その瞬間、その場所を起点にビキビキと銀の波紋が拡がっていき、トレントの身体はたちまちにして凍り付いた。
これがオレの魔剣、《白狼剣》の力。吹雪の霊獣スノーウルフを刃に飼う氷の魔剣。本体を凍らされたトレントの枝の力がフッと弱まり、エルミィはどさっと地面に尻餅を付く。
それを見届けるとオレは再び狙いを定めて、今度はオレ自身を捕まえているトレントを氷撃で凍らせる。動きが止まった触手を振りほどくと、オレは地面にスタッと降り立った。
だがやっと二体倒したものの、新たなトレント達がズイズイ迫ってくる。この森自体がトレントだとするなら、一体何匹いるんだ!?
しかしこうなった以上、もはや闘って血路を切り開くしかない。オレは静かに呼吸を整えると、迫るトレントの一体に向けて猛然と飛びかかった!
「いくぞっ! このウドの大木ども!」
そう叫ぶと、オレは気合い一閃、トレントに白狼の刃を叩きつける!
ガシイッ! 刃が深々とトレントの身体に食い込む。だが、斧で切り倒したならともかく、その程度ではまるでダメージを受けた様子は無い!
逆にトレントは触手枝をバットのように振り回すと、オレを易々と吹っ飛ばした!
「ぐわっ!」
激しく地面に叩きつけられてオレはうめいた。しかもそれだけでは終わらず、トレントは器用に枝を絡めて食い込んだままの白狼剣を引き抜くと、まだ意識が朦朧としたままのオレめがけて投げつけてくる。
「ユ……ユーリィ!!」
「--!?」
エルミィの悲鳴にハッと我に返って咄嗟に身をひねると、剣はオレの頬をかすめ勢い良く地面に突き刺さった。
「やりやがったなっ……!」
オレは白狼剣の柄を握って跳ね起きると、再びトレントたちと対峙する。ザワザワと音を立てながら次々とにじり寄る《植物魔人》たち。一体ずつ相手にしていては、いくら何でも分が悪すぎる。こうなれば奥の手を使うしかない……! オレはそう決意すると、スッと白狼剣を居合い斬りの形に構えた後、裂帛の気合いと共になぎ払った!
「--吹雪よ!」
ドウッ! 白狼剣が銀色の煌めきを放ったその瞬間、その刀身から生じた圧倒的な勢いの氷の嵐が、トレントの群れめがけて吹き荒れた!
--ギャアアアアアアッッ!!
悲鳴を上げる間もあらばこそ、森の一角がたちまちにして凍結する!
「す、すごい……」
その光景を見たエルミィが、唖然としてつぶやいた。
「こんなの最上級の魔道師じゃなきゃムリだよ……」
だが、実は正直言ってオレも驚いていた。白狼剣に宿るスノーウルフの力を全開にすれば、今のように吹雪そのものを起こすことさえできる。しかし、いくら氷の霊獣の力とは言え、これほどまでの威力は無かったはずだが……?
だが、今は喜べこそすれ、考えている時では無い。確かに今ので一気に数十体は樹氷に変えてやったが、まだまだトレント達は後から後から湧いてくる。しかも白狼剣の放てる吹雪はせいぜい後一回しかないのだ!
どうすればいいんだ……!? そうした感情があるのかどうなのか、仲間の最期にも少しも臆する様子もなくじりじりと迫るトレント達をにらみながら、オレは必死で頭を回転させた。
「……そうだっ!!」
そのとき、いきなり後ろでエルミィが素っ頓狂な叫びを上げた。
「さすがあたしったら天才ね☆ こいつらの弱点がわかっちゃった♪ ユーリーここは魔道師のあたしに任せて!」
えっ? 意外な言葉に振り返る俺に、エルミィはふふん♪とその割と大きめな胸をそらすと、続いて何やら呪文の詠唱に入った。
「--ロー・ザイザ・ロー・ラン・スターク……!」
桜色の唇から流れ出る呪文の調べに合わせて、エルミィの身体が青白い魔力の光に包まれる。
だがオレはすぐさまハッとなった。待てよ、この呪文は!? オレ自身は魔道は使えないが、この呪文ぐらいは知っている。いやしくも魔道師を名乗るからには誰でも使える、ごく、ごく初歩的な呪文だが……問題はその種類だ!
まさか、まさか、エルミィの言うトレントの弱点とは!?
「や、やめろっ! おいっ!」
慌てて止めようとするもそれより一瞬早く、エルミィの呪文は完成した!
「いっぇぇーーー!」
エルミィがトレントの群れにめがけて、右手に持った魔道師の杖を勢い良く突き出した!
「《光炎(フレイア)》!!」
ゴウッ、その瞬間、オレの制止も空しく、凄まじいまでの業炎が、渦を巻いて杖の先からほとばしった!!
(後編に続く!)
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